オモコレーー具現の館ーー

日本海外を問わず、優れた立体造形+アメコミを紹介していきます。

『タンタン ソビエトへ』

f:id:omokore:20170625140505j:image

1929年に「プチ20世紀」に掲載された、タンタンの記念すべき第1作目。ルポライターのタンタンが、GPUチェキストによる恐怖政治大蔓延中のソビエトへ取材に出かけ、冒険を繰り広げる。

 

「タンタンの冒険」シリーズの記念すべき第1作目にして、シリーズ中唯一、カラー化されなかった本作『ソビエトへ』。カラー化されなかったのも、長い間絶版扱いだったのも、後述する作者エルジェの意向によるもの。シリーズものの宿命か、後年の固定化されたキャラクターとしての「タンタン」とは、当然ながら色々と異なっている点が多く、『謎のユニコーン号』や『ななつの水晶球』などを先に読んでから本作を読むと、ギャップに戸惑うことがあるかも。ただ一方、カラー版として描き直されなかった唯一の作品として、他とは違う本作だけの魅力があるのは確か。

 

まずこの『ソビエトへ』、とにかくテンポがはやいはやい。ソビエトの実状を探ろうとするタンタンと、それを阻み彼を亡き者にしようと罠を仕掛けるソビエト側との攻防の連べ打ち。1つ1つのアクションやショックが、完全に決着しないうちから次の展開につながっていくので、ホントにアトラクションにでも乗っているような感覚。たった138ページが、138ページに思えないボリュームで、何回でも読み直せる楽しさを秘めている。次はこれ、次はこれと、休ませる間も無く迫ってくるGPUやコミッサールの刺客に対して、勇気と機転と悪運で切り抜けるタンタンとスノーウィ。くしゃみで壁を壊したり、独房になぜか潜水服が置いてあったり、吹っ飛ばされた先で上手いこと車に着地したりと、悪運もかなり荒唐無稽な一方、ガラクタから自動トロッコを創り出したり、飛行機のプロペラを2回も作ったりと、タンタン自身の創意や工夫が見られるシーンもあって、その辺のバランスはちょうどいい感じ。そこに加えてGPUと取っ組み合いする場面とかもある。本作のタンタンは、以降のシュッとしたスタイルからは考えられない、変に肉感があって、アクションシーンとなると筋肉質にも見える。作画自体が安定してないからか、タンタンの顔もページごとに結構違っていて、ここが面白いところ。

 f:id:omokore:20170626221643j:image

タンタン自体のキャラクターも結構ちがっていて、本作では思慮深いというより無謀(笑)。かなりお調子者で、喧嘩っ早い。いつもは、スノーウィがトラブルメーカーで、それをタンタンが諌める構造なのに、本作では無謀ばっかりするタンタンを、スノーウィが諌めている形になっている。本作のタンタンは、その場その場をけっこう力ずくで切り抜ける武闘派って感じ。対してスノーウィが超お利口さんになってて、常々タンタンのすることにツッコミを入れる。どっちが保護者だと。しかも今回はスノーウィがタンタンを助かる展開がかなり多い。反面、スノーウィのピンチの時にタンタンが体を張って助ける場面もあり、シリーズを通して描かれた、ふたりの絆は一作目からバッチリ健在だった。

 

あと特筆すべきところは、作者エルジェの圧倒的表現力。言うまでもないことかも知れないけど、エルジェはほんとうに表現が上手い。今回は白黒で線も太め。後年にあるような細い線での緻密な描きこみはない。背景はほとんど白。線も少なめ。にもかかわらず、全てのものが何を表現しているか、一目でわかる。

 

f:id:omokore:20170626221229j:image

動きの表現も素晴らしい。特に、この車のスピード感。全体を少し傾けて描くことで、疾走感を出すこの表現。世界を形作る線の一本一本に全く無駄がない。これが今から90年近く前のものだなんて……もう感動するしかない。

このページ以外にも、一コマ一コマがとにかくシンプルだけども巧妙。最小の動きで最大の効果を狙っていて、全部のコマが見逃せない。これがシリーズの一作目ですよ? ほんとに凄いと思う。

 

 

特筆すべき点は、まだまだある。けどこれくらいにして、そろそろ、『ソビエトへ』を語る上で欠かすことができない問題について考えてみたい。

 

 

『タンタン ソビエトへ』は50年もの間絶版扱いだった幻の作品。というのも、作者エルジェにとっては、満足のいく出来ではなかったらしい。エルジェはソビエトの様子を、ある一冊の本を資料として描いた。その『ヴェールをはがされたモスクワ』は、共産主義批判を煽るような内容が強く、そこに書かれていることの全てが真実に基づいているわけではなかったらしい。

 

f:id:omokore:20170626222231j:image

でも実際に読んでみると、『ソビエトへ』に書かれているものはまったくのデタラメではないということも確か。特に有名なこのシーン。タンタンを銃殺しようとするソビエト兵の、ゾッとするほどに揃った動き。発砲とともに、足が揃って上を向く。このあまりに機械的な冷たさ。個が抹消されて、大きな何かに組み込まれてしまったかのような統一のされ方。この部分以外にも、国の利益のために個人を蔑ろにする場面が、『ソビエトへ』では数多く描かれる。それは現在でもまったく風化しない恐ろしさ。大きな力のため、個人が平気で犠牲にされる怖さを、『ソビエトへ』は確かに描いている。そして我らがタンタンは、そんな、「人を人とも思わない世界」に最後の最後まで「ノン!」を突きつける。

 

強い力に抗い、弱き者を助けるタンタンの姿は、この時から既に描かれていた。圧砕に苦しむ人々のために機転をきかせ、時には真っ向から立ち向かった。それこそ、タンタンというキャラクターが普遍的に持っている最大の魅力であり、世界中から愛されて止まない最大の理由なのだろう。そして、それは『ソビエトへ』の時点で、既に確固たるものとして確立されていた。

 

物語終盤、タンタンはソビエトに背を向け、故郷のブリュッセルに帰る。"ゆきてかえりしものがたり"の、"帰りし"の部分がちゃんと描かれているのもポイント高い。汽車が次第に故郷に近づくにつれ、ホッとすると同時に、ソビエトへの大冒険が終わりつつあるという感慨がこみ上げてくる。何度も死線を潜り抜けた、その偉大なる冒険から彼は帰ってきた。駅につめかけて、帰還を歓迎する人々。もっとも緻密に描きこまれた最後の一コマが示す大団円。けれどもタンタンとスノーウィの旅は終わらない。故郷に帰ったタンタンは、再びまたブリュッセルを後にして、様々な冒険へと旅立つことになる。

 

 

やや偏っていたとはいえ、全体主義が確かに持つ恐怖を描き出していた『ソビエトへ』。我らがタンタンの冒険録はこれを第一作目に掲げる。強気に立ち向かい、弱気を挫く。どんな困難に陥っても、希望を捨てずに挑戦し続ける永遠のヒーロー……すべては、ここから始まった。

 

 

 

 

 

タンタンのコンゴ探険

f:id:omokore:20170625110948j:image

シリーズ2作目『コンゴ探険』から、サファリスタイルのタンタンを紹介。

 

 f:id:omokore:20170625110955j:image

ポケットに手を突っ込んで、コンゴを歩くタンタン。踏み出した左足が浮いているなど、動きの表現が良い。

 

 f:id:omokore:20170625111003j:image

お供を従えて。スノーウィーはどこ見てるのかしら。

 

 f:id:omokore:20170625111008j:image

歩く2人の尻。

 

 f:id:omokore:20170625111015j:image

スノーウィーの視線に合わせて。

台座は明るい緑一色。シンプルだけど、晴れたサファリの草むらを表現した、綺麗な色。

 f:id:omokore:20170625111028j:image

さぁ! 冒険に出かけよう!

メディーバルスポーン2

f:id:omokore:20170524235404j:image

スポーン シリーズ17 クラシックより、メディーバルスポーン2を紹介。

 

f:id:omokore:20170524235544j:image

f:id:omokore:20170524235604j:image

f:id:omokore:20170524235638j:image

中世のスポーンという設定のメディーバルスポーン。シリーズ中でも最高峰のクオリティを誇るシリーズ17でも、こいつのヤバさは群を抜いている。フィギュア自体の重量感も随一で、とにかく重い。

 

f:id:omokore:20170524235806j:image

f:id:omokore:20170524235841j:image

メディーバルスポーン本体。鎖帷子や鎧など、気合が入っているというだけでは到底表現できない超絶作り込み。

 

f:id:omokore:20170525000005j:image

この部分とかヤバすぎでしょ。

 

f:id:omokore:20170525000230j:image

大剣を握りつつ、こっちに疾走してきそうな勢いのあるポージング。ほとんど可動はしないけど、こいつに関しては可動は良いや。もはやスタチューとして楽しもう。

 

f:id:omokore:20170525000358j:imagef:id:omokore:20170525000411j:image

ギミックと呼べるものはこれだけ。マスクを外すと、お馴染みの爛れた顔。とにかくリアル志向を目指してか、おなじみのハンバーガー・ヘッドもかなり怖い。

 

f:id:omokore:20170525000556j:image

台座も凝っている。苔むした大地に突き立つ無数の槍、そして骸骨。中世の戦場をイメージしている様子。

 

f:id:omokore:20170525000710j:image

地獄の戦士が持つに相応しい大剣。ヘルスポーンのエンブレムもバッチリ。

 

f:id:omokore:20170525000809j:image

f:id:omokore:20170525000833j:image

 

 

f:id:omokore:20170525001046j:image

ロームで撮影してみた。

 

 

余談ですが、『13ゴースト』という映画、知ってますか? あの映画の中に、実はこのスポーンシリーズシリーズ17のフィギュアがいつくか登場している。どこに登場しているかは、秘密。映画の小道具として使われるほど、クオリティが高かったということ。手にとって改めて思うけど、ほんとに、この時期のマクファは凄まじかった。

 

 

 

 

 

 

 

ヴェロキラプトル 羽毛ver

f:id:omokore:20170516000241j:image

PAPOから、ヴェロキラプトルをもう一体。今度は最新の研究を取り入れて、羽毛を生やしたパターンでの造形化。

 

f:id:omokore:20170516000342j:image

f:id:omokore:20170516000408j:image

羽毛恐竜はあんまり好きではないんだけど……こいつはあり。これまでに出て来た、どの羽毛版ラプトルよりもカッコいい。

 

f:id:omokore:20170516000517j:image

四肢は全く動かない代わりに、口が開閉。この点は、前回紹介したラプトルと同様。

 

f:id:omokore:20170516000619j:image

口の中までバッチリ作り込んである。噛まれると痛そう(笑)

 

f:id:omokore:20170516000656j:image

身体を包む羽毛の表現もとにかく細かい。後脚にはお馴染みの鉤爪。

 

f:id:omokore:20170516000810j:image

尻尾まで抜かりなし。お見事。

 

f:id:omokore:20170516000858j:image

より猛禽らしくなったラプトル。大きさは犬くらいしかないけど、こんなんが来たら本気で怖いやろな……

 

 

f:id:omokore:20170516000957j:image

f:id:omokore:20170516001026j:image

f:id:omokore:20170516001055j:image

口の開き方三種。爬虫類特有の、無感情な瞳もよく似合う。

f:id:omokore:20170516001218j:image

首筋の緑など、細かいところの色分けに注目。

 

f:id:omokore:20170516001331j:image

今じゃあすっかり定着したラプトルの姿。日々塗り替えられていく古生物学の成果についていかなきゃならないんだから、オモチャ企業も大変だな。

ひとやすみ

f:id:omokore:20170515234123j:image

タンタンの冒険旅行シリーズから、ソファーに座って一休みしているタンタンとスノーウィーを再現したフィギュアを紹介。

 

f:id:omokore:20170515234233j:image

お馴染みのスタイルで、赤いソファーに座ってくつろぐタンタン。足元では、気持ちよさそうに眠るスノーウィー。

 

f:id:omokore:20170515234351j:image

シャツを腕まくりした感じとか、いかにもプライベートな感じで良い。冒険に出かけているタンタンも良いけど、こうしたゆったりバージョンも好きですね。

 

f:id:omokore:20170515234522j:image

スノーウィーに微笑みかけているのか、やや開いた口。タンタンらしい、優しそうな顔。

 

f:id:omokore:20170515234625j:image

組んだ足の下で、ぐっすり眠るスノーウィー。とろんと垂れた眉毛が可愛い。

 

f:id:omokore:20170515234726j:image

 

f:id:omokore:20170515234802j:image

 

最高の相棒と、束の間の休息。

 

スポーンⅣ

f:id:omokore:20170503181639j:image

マクファのスポーンシリーズ12から、スポーンⅣを紹介。

 

f:id:omokore:20170503181726j:image

f:id:omokore:20170503181746j:image

f:id:omokore:20170503181825j:image

銃火器を体に取り付けまくったスポーン。ガンマンのようでもあり、こいつが超カッコいい。

 

f:id:omokore:20170503182019j:image

f:id:omokore:20170503182412j:image

f:id:omokore:20170503182610j:image

f:id:omokore:20170503182659j:image

武器は全て持つことができる。若干、癖があるけど。

 

f:id:omokore:20170503182739j:image

マフラーなしのスポーン。マスクの衣装はこれい以上なくシンプルなのに、どうしてこうカッコいいのかしら。

 

f:id:omokore:20170503183022j:image

フル装備。このたたずまい……どっしりとした安定感が良い。

 

f:id:omokore:20170503183123j:image

f:id:omokore:20170503183136j:image

見逃しがちだけど、全体のディテールもすごい。マフラーの赤とベルトの茶色、手榴弾の緑がうまい具合に調和して、西部劇風でもある。

 

f:id:omokore:20170503183353j:image

 スポーン好きなら抑えるべしとまで言われていたスポーンⅣ。こいつにハズレなし!!

 

アンギラス襲撃

f:id:omokore:20170430201857j:image

アートワークスからもう1つ。『ゴジラの逆襲』であった、アンギラスの大阪上陸のワンシーンを再現。

 

f:id:omokore:20170430202003j:image

f:id:omokore:20170430202023j:image

f:id:omokore:20170430202058j:image

東宝怪獣の中で特に好きなのが、この暴龍アンギラス。初代特有の後ろ足立ちが迫力あって良い。

 

f:id:omokore:20170430202232j:image

アンキロサウルスがモチーフでありながら、どこか東洋の龍を思わせるデザインが秀逸。

 

f:id:omokore:20170430202316j:image

アンギラスといえばこれ。背中のトゲも抜かりなし。

 

f:id:omokore:20170430202409j:image

抜かりなしといえば、アンギラスの足元にも抜かりがない。破壊された家屋の瓦礫まで、丁寧に作られている。

 

f:id:omokore:20170430202521j:image

単体で見るこんな感じ。尻尾の分、ボリューム感が凄い。

 

f:id:omokore:20170430202614j:image

表面の鱗とか、手のひらに乗るほどちっちゃいのに、ディテールが細かい。

 

f:id:omokore:20170430202839j:image

かっけーよなー。さすがゴジラ初めての敵怪獣。

 

f:id:omokore:20170430202739j:image

仰観視点で。

 

f:id:omokore:20170430203015j:image

見つめる先には、ライバルのゴジラーー実際に、このアンギラスと繋がることができるゴジラも、同シリーズの中にあったんだけど……残念! 持ってない!!